○筑後市環境基本条例

平成23年12月19日

条例第22号

前文

私たちのまち筑後市は、筑後平野の中央に位置する田園都市です。

市の地形はおおむね平坦で、南部には津江山系に源を発する1級河川の矢部川が流れ、これと並行して花宗川と山ノ井川が市中央部を横断しています。このほか、小規模河川や水路が市全体を網の目状に流れ、特に西部ではこの地方特有のクリーク(堀)が広がり、北部にはため池が見られます。また、矢部川河畔には、市の主な観光地である船小屋温泉郷があり、約1,300本の大楠が群生し、日本有数の含鉄炭酸泉が湧出しています。

また、古くから、温暖な気候と肥沃な土地、恵まれた水を活かした農業が盛んに行われてきました。一方、副業として始まった綿織物も、絣をはじめとして市を代表する特産品となり、広くその名が知られています。

このような水と緑に恵まれ歴史を有する筑後市の環境は、私たちの貴重な財産です。

ところが、都市化の進展によって身近な自然は今や減少しています。さらには、私たちの日常生活や事業活動における便利さ、物質的豊かさの追求が、地球温暖化やオゾン層の破壊を生むなど地球環境に大きな負荷を与え、人類の存続基盤そのものを脅かすまでになってきていると言われています。

本来、健康で文化的な生活を営むうえで、良好な環境を享受することは私たちの権利であり、貴重な財産としての環境を守り、育て、将来の世代に継承していくことは、私たちの責務です。

それゆえ、私たちは、自らの活動が地域の環境、ひいては地球環境に影響を与えていることを認識し、市、市民、滞在者及び事業者が互いに連携し、協働することによって環境への負荷の少ない持続的発展が可能な資源循環型社会を形成しなければなりません。

ここに、私たちすべての市民が、この豊かな自然を愛する心を育み、貴重な自然環境を後世に残すという責務を認識し、自然環境と人間生活が調和する誰もが住みよい都市を実現することを目指して、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、筑後市(以下「市」という。)における環境の保全と創造について基本理念を定め、市民が現在及び将来世代にわたり、健康で文化的な生活を営むことのできる快適な環境を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 市民 市内に住所を有し、又は通勤し、若しくは通学する者をいう。

(2) 滞在者 帰省、旅行等で市内に滞在する者をいう。

(3) 環境への負荷 事業活動及び人の活動により環境に与える影響であって、環境の保全上支障のあるものをいう。

(4) 公害 環境の保全上支障のあるもののうち、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に被害が生じることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全と創造は、次に掲げる基本理念により行われなければならない。

(1) 豊かな緑、清らかな水及び澄んだ空気に抱かれた市の自然環境が、大切に守られ次世代に引き継がれていくこと。

(2) 環境を守ることの大切さが学ばれ、又はより良き環境を創造する意識が向上されることにより、環境保全が市から地球規模へと繋げられること。

(3) 自然環境に配慮された営みが行われることにより、水辺、田園等が一体となった市の優れた農業環境が守られること。

(4) 環境への負荷が低減されることにより、誰もが住み続けたくなるようなまちになること。

(市の責務)

第4条 市は、環境の保全と創造のため、基本的かつ総合的な施策を策定し、実施するよう努めなければならない。

2 市は、施策を実施するに当たって、快適な環境が確保されるよう努めなければならない。

3 市は、市民の自主的な活動への取組を支援するとともに、施策を推進するよう努めなければならない。

(市民の役割)

第5条 市民は、資源及びエネルギーの節約並びに廃棄物の排出抑制及び再生利用を図るとともに、生活上の公害発生を防止するなど環境への負荷の低減に努めるものとする。

2 市民は、環境の保全と創造に自ら積極的に取り組むとともに、市が実施する施策に参画し、協力するよう努めるものとする。

(滞在者の役割)

第6条 滞在者は、滞在期間において資源及びエネルギーの節約、廃棄物の排出抑制その他の環境保全に努めるものとする。

(事業者の役割)

第7条 事業者は、その事業活動を行うに当たり、公害を発生させないため、自らの責任において適切な措置を講ずるものとする。

2 事業者は、資源及びエネルギーの節約及び有効利用を図り、廃棄物の排出抑制及び再生利用を図るなど環境への負荷の低減に努めるものとする。

3 事業者は、環境の保全と創造に自ら積極的に取り組むとともに、市が実施する施策に参画し、協力するよう努めるものとする。

第2章 基本方針

(豊かな自然環境の保全)

第8条 市、市民、滞在者及び事業者は、豊かな自然環境を保全するとともに、適切な生物多様性(生物多様性基本法(平成20年法律第58号)第2条に規定する「生物の多様性」をいう。)の保全に努めるものとする。

(環境教育等の推進)

第9条 市は、市民及び事業者が学校、家庭及び地域において、環境への理解を深め、環境に配慮した生活及び事業活動ができるよう、環境に関する教育及び学習の推進、情報の提供等必要な措置を講ずるものとする。

(地球温暖化防止対策)

第10条 市、市民、滞在者及び事業者は、地球温暖化の防止に資するため、二酸化炭素その他温室効果ガスの排出の抑制に努めるものとする。

2 市は、市民及び事業者の二酸化炭素その他温室効果ガス排出の抑制に関する活動を促進するため、必要な情報の提供をするよう努めるものとする。

(必要な措置)

第11条 市は、環境の保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な措置を講ずるものとする。

2 市民及び事業者は、市に対し、環境の保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な措置を講ずるよう求めることができる。

(国及び他の地方公共団体との連携)

第12条 市は、広域的な取組を必要とする環境施策について、国及び他の地方公共団体と連携し、その推進に努めるものとする。

(調査研究等の充実)

第13条 市は、環境の保全と創造に関する施策を適正かつ効果的に推進するため、必要な調査研究を行い、その成果の普及啓発に努めるものとする。

(環境状況の報告)

第14条 市は、毎年、市内における環境の状況、次章に規定する環境基本計画に基づき実施された施策の状況等についての報告書を作成するとともに、第17条に規定する筑後市環境審議会に報告し、これを公表しなければならない。

第3章 環境基本計画

(環境基本計画の策定)

第15条 市長は、第4条に規定する施策を総合的かつ計画的に推進するため、筑後市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めるものとする。

2 環境基本計画は、環境の保全と創造に関する目的を達成するための具体的施策その他重要事項について定めるものとする。

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ市民の意見を反映することができるよう、必要な措置を講ずるものとする。

4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表するものとする。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境基本計画との整合性)

第16条 市長は、環境の保全と創造に影響を及ぼすことが予測される施策を策定又は実施するに当たっては、環境への負荷が低減されるよう配慮するとともに、環境基本計画との整合性を図るよう調整するものとする。

第4章 環境審議会

(環境審議会)

第17条 市長は、環境の保全と創造に関する事項を調査審議するため、筑後市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、次に掲げる事項を審議する。

(1) 環境基本計画に関する事項

(2) 環境の保全と創造に関して必要な事項

(3) その他市長が必要と認める事項

3 審議会は、15人以内の委員をもって組織し、市長が委嘱する。

4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第5章 雑則

(委任)

第18条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成24年4月1日から施行する。

筑後市環境基本条例

平成23年12月19日 条例第22号

(平成24年4月1日施行)