退職勧奨・退職強要について

更新日 2019年04月01日

【Q】 最近会社が人員の削減を行っており、上司から自主的に退職してほしいと言われています。自ら辞める意思はないので、その旨伝えたのですが、何度も呼び出しがあり、このままでは解雇するしかないと言われました。
  このような退職勧奨がある場合、どうしたらよいのでしょうか?

【A】 まず、辞める意思がないのであれば、自ら退職届などは書かないことです。使用者が労働者に対して、労働契約の合意解約を申し込んだり、退職を申し込むように誘引したりするのが退職勧奨です。また、社会通念上の限度を超えた勧奨は退職強要と呼ばれます。
  退職勧奨は、合意解約の単なる申込みあるいは誘引にすぎないので、勧奨をされた労働者がそれに応じる義務はありません。退職の意思がない以上、はっきりと断ることが必要です。もし、会社の自主退職の勧めに合意すれば、それは法的に有効となります。
  また、ご相談にあるような、繰り返してなされる執拗かつ半強制的な退職の勧奨は違法なものとして、勧奨者の損害賠償責任が肯定されることがありますし、退職勧奨拒否を理由として、不利益な措置を行うことは違法とされます。
  なお、ご相談のような退職勧奨に応じて退職の意思表示をした場合、民法第96条第1項の強迫に関する規定により、その意思表示を取り消せるかについてですが、退職願の提出を勧奨し、もし退職しなければ解雇(一般解雇、整理解雇、懲戒解雇)すると告げるだけでは、一般には強迫とはならないようです。強迫とは、「違法な害悪を示して畏怖を生ぜしめる行為」であるとされ、判例では、個々の具体的な状況により強迫にあたるかとうかを判断しています。ただし、合理的な理由なく、退職勧奨に応じないことをもって実際に解雇した場合は、解雇権の濫用として無効と考えられます。
  勧奨・強要が何度も繰り返される場合は、配達証明付きの内容証明郵便により、勧奨・強要をやめるよう通告する方法もあります。
  また、退職勧奨が社会通念上の限度を超え、退職強要と考えられる場合は、裁判所に、行為差止めの仮処分を申し立てるという方法もあります。
  退職勧奨の限界については、被勧奨者の態度表明、優遇措置、勧奨の回数、期間などを総合的に勘案して、全体として被勧奨者の自由な意思決定が妨げられる状況であったか否かについて判断されます。

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