平成31年5月
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広報ちくご 2019年5月号15 生活綴り方教育は、自分たちの生活のありのままを文章に書かせることで、社会や自然をしっかりと見つめさせようと戦前から取り組まれてきました。 現在では、国語の授業で作文が取り組まれていますが、生活綴り方は作文と全てが同じではありません。 日々の生活の中の見過ごしてしまうような出来事に込められている意味。それにまず気付くことから生活綴り方は始まります。毎日、日記を書くことを通して、ささいな出来事にも意味があることに気付くようになること。そのことが日記の題材集めになります。 これを続けていくと、「何も書くことがない」と言っていた子どもが、「今日はこのことを日記に書こう」といった生活の仕方に段々と変わっていきます。そして、気付いたこと(題材)について、時間の順序通りに、見たこと・したこと・聞いたこと・話したこと・その時の様子・思ったことなどをよく思い出し、過去形でくわしく書いていきます。自分だけではよく思い出せないところは、先生と一緒に思い出しながら書いていきます。そして、その文章を何度も練り直し、誰が読んでもよく分かる文章にしていくことが重要になります。そうやって出来上がった文章(綴り方)を友だちと読み合って交流したり、自分の家族と共有したりします。 題材を見つけ、文章を書き、よりくわしい文章に書き直し、友だちや家族と話し合う。こういった一連の取り組みを通して、生活の中にある大切なことに気づく認識力や他者への想像力などを育てることが生活綴り方のめざ=人権・同和教育=すものなのです。 最近の子どもたちは、インターネットやオンラインゲームなど、その場かぎりの楽しさに慣れてしまって、日々の生活は変化に乏しく退屈なものに感じるかもしれません。また、身の周りのささいな出来事の中にある大切な意味や、人間の細やかな心の動きに気付きにくくなっているかもしれません。 自分の生活を見つめ、綴ることの意味。それは、自分が感じたことや考えたことを、ありのまま表現し他者と共有することで、人の気持ちを想像できる力を養い、人と人とのつながりを作ることだと言えるでしょう。 生活綴り方がめざすものは、人権教育の具体的な中身そのものであるとも言えます。【参考文献】「子どもたちの人間宣言」坂田次男著(明治図書)【問合せ】人権・同和教育課(☎65-7039)生活綴り方は人権教育そのもの生活綴り方がめざすもの「生活綴つづり方と人権教育」シリーズ いま人権・同和教育は

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