広報ちくご10月号
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ハンセン病は、治る病気であるにもかかわらず、その患者は、強制的に隔離されてきた歴史があります。隔離するための法律は廃止されましたが、この病気に対する偏見や差別は今もなお残っていて、元患者やその家族は苦しんでいます。現代では感染することも、発病することもほとんどありません。私たちは同じ過ちを繰り返さないために、ハンセン病について学び正しく理解することで、偏見や差別のない社会を実現していかなければなりません。ハンセン病は「らい菌」という細筑          菌に感染して起きる病気で、菌を発見したノルウェーの医師の名前をとって病名が付けられています。この病気にかかると、手足などの神経がまひし、感覚がなくなる、体の一部が変形してしまうといった症状が現れます。治療法がない時代は障害などの後遺症が残ることもありました。昭和18年、米国で「プロミン」という薬がハンセン病によく効くことが報告されました。その後さまざまな薬が開発され、現在は3種類の飲み薬を組み合わせて服用する治療が行われています。ハンセン病は早期に発見し、適切な治療を行えば、後遺症を残すことなく治るようになっています。 「らい菌」はもともと感染力が弱く、たとえ感染したとしても発病する力はとても弱い細菌です。現在の日本の衛生状態や医療環境を考えると、感染することや発病することはほとんどありません。 ハンセン病患者を「療養所」という名の施設に収容する隔離政策は、平成8年、「らい予防法」が廃止されるまで続きました。ハンセン病への偏見や差別の目は、患者の家族にも向けられてきました。そのため家族は、身内に入所者がいることを隠し、世間の目におびえながら生きていかなくてはなりませんでした。隔離政策は家族を引き離すだけでなく、偏見と差別によって家族の心をも分断していったのです。しかし、こうした家族の被害は長い間公的に認められていませんでした。 平成28年、元患者の家族たちは、国に対して謝罪と賠償を求める裁判を起こしました。令和元年に国の責任を認める判決が下されると、国はこれ以上争わないことを決め、家族たちに謝罪しました。 また、同年には元患者家族に対する新たな補償に関する法律も成立しました。法律の前文では、苦痛と苦難を強いられてきた家族への取り組みが行われてこなかったことについて謝罪し、偏見と差別を根絶する決意が述べられています。それでも、自分の家族に元患者がいることを周囲に打ち明けることができた人は多くありません。家族の皆さんは、今も偏見や差別を恐れて生きています。現在、小中学校で使用されている社会科の教科書には「ハンセン病と人権侵害」のことが記述されていて、子どもたちもこの問題について学習しています。ハンセン病について、正しい知識と理解を持つこと。これが差別や偏見をなくす第一歩になるのではないでしょうか。人権啓発動画(DVD)・人権啓発冊子「ハンセン病問題を知る~元患者と家族の思い~」(法務省人権擁護局/(公財)人権教育啓発推進センター)※DVDは貸し出すことができます。くわしくは、同課へ問い合わせてください。シリーズいま人権・同和教育はハンセン病とはハンセン病の治療法感染力は家族の苦しみと法律の成立正しい知識と理解を参考広報ちくご 令和3年10月号16【【問問合合せせ】人】人権権・・同同和和教教育育課(課(☎☎77003399))=人権=市役所からのお知らせ市役所市役所からのお知らせからのお知らせ正正ししくく理理解解ししよよううハハンンセセンン病病をを

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