分野4 教育・育成 1 早期発見・早期支援体制の強化 現状と課題 実態調査では、子どもの発達の気がかりを感じた時期として、「0歳から1歳6ヶ月」が約44.2パーセントと最も多くなっています。また、子育て環境の充実に必要な支援として、「早期療育の充実」が30.8パーセントとなっており、早期からの切れ目のないフォローアップ体制の構築が求められています。 障害の早期発見から、早期療育への迅速な対応を行い、障害児ができるだけ早い段階で適切なサービスを受けられるよう、医療、教育、行政など、障害児に関わる各機関との情報の共有化や、連携を図ることが重要です。 関係団体アンケート調査やヒアリングでは、発達相談や児童発達支援など、支援の「入口」が以前より整ってきたことや、早期発見が進み、療育を受け始める年齢が若くなったことが評価されています。一方で、5歳児健診を通じて、就学前の課題を官民で共有・連携する仕組みの必要性や、妊娠期・乳幼児期から成人期まで、どこに相談すればよいかが一目でわかる「見える化」が求められています。 取組 障害の早期発見・早期支援体制を強化し、切れ目のない支援を提供します。 施策4-1-1、乳幼児健診・健康相談の充実。 内容は、乳幼児健診や健康相談を通じて、障害の早期発見・早期対応に努めます。5歳児健診の活用を含め、就学前の支援体制を強化します。 担当課は、こども家庭サポートセンターです。 施策4-1-2、早期療育への迅速な対応。 内容は、障害の早期発見から、早期療育への迅速な対応を行い、障害児ができるだけ早い段階で適切なサービスを受けられるよう、医療、教育、行政などの関係機関との情報の共有化や、連携を図ります。 担当課は、こども家庭サポートセンター、福祉課です。 施策4-1-3、療育・教育相談に関する広報の充実。 内容は、障害児に関わる療育・教育相談などについて、様々な機会を通じて周知します。また、関係機関で連携し、相談窓口への適切なつなぎを実施します。 担当課は、こども家庭サポートセンター、学校教育課、福祉課です。 2 療育支援の充実 現状と課題 障害の早期発見から、早期療育への迅速な対応を行い、障害児ができるだけ早い段階で適切なサービスを受けられる体制の整備が重要です。 実態調査では、現在提供されている療育内容への満足度は、満足と感じている割合が33.6パーセント、不満と感じている割合が13.5パーセント、「どちらともいえない」が29.8パーセントとなっており、さらなる充実が求められています。 関係団体アンケート調査やヒアリングでは、利用希望に対して受け入れ枠が不足していることや、職員のスキルアップの機会の確保が、課題として指摘されています。また、市内の児童が柳川療育センターに依存している現状があり、市内で診断や療育が完結できる体制の整備が求められています。保護者支援においては、「できない」「不適切」に注目しがちな傾向に対し、「できること」や「強み」を活かす視点での関わりを促す支援の重要性が指摘されています。 今後は、早期発見・早期療育体制の強化、療育サービスの量的・質的な拡充、専門人材の育成、そして家族支援の充実が必要です。 取組 児童発達支援センターや各事業所における支援員の専門性を向上させ、一人ひとりの子どもの特性や強みに着目した、質の高い療育を提供します。 施策4-2-1、児童発達支援・放課後等デイサービスの充実。 内容は、障害児に対する児童発達支援や、放課後等デイサービスの充実を図り、発達の土台を育てる専門的な支援を提供します。また、サービスの質の向上を図るため、職員の研修機会の確保を支援します。 担当課は、福祉課です。 施策4-2-2、障害児保育などの充実。 内容は、障害のある子どもを保育所や学童保育所で受け入れることができるように、体制の整備に努めるとともに、子どもの心身の状況を正確に把握し、保育内容の充実を図ります。 担当課は、児童・保育課です。 施策4-2-3、療育従事者の専門性の向上。 内容は、地域自立支援協議会を通じて、研修会や事例検討会を開催し、アセスメント能力の向上や、ストレングス視点の支援計画の作成を推進します。 担当課は、福祉課です。 3 学校教育の充実 現状と課題 実態調査では、「障害児が学校で必要な支援を受けやすくなっている」との肯定的な評価は24.8パーセントで、全施策の中で最も高くなっていますが、約4分の3は「どちらともいえない」または否定的な評価となっており、さらなる充実が必要です。また、「学校や地域での福祉教育が充実している」との肯定的な評価は、21.9パーセントにとどまっています。 子育て環境の充実に必要な支援として、「障害のある子どもに対する教育のサポート体制の充実」が40.4パーセントで最も多く、「特別支援教育コーディネーターなど、学校における相談窓口・情報提供の充実」も29.8パーセントと高くなっています。保護者からは、一人ひとりの障害特性に応じた配慮や、周囲の児童生徒・保護者の理解促進を求める声が、多く寄せられています。 関係団体アンケート調査やヒアリングでは、学校によって連携への取組に温度差があることや、教員の異動によって連携の継続性が損なわれるケースが指摘されています。保育所等訪問支援を通じた、園や学校との情報共有がうまく機能している事例もある一方、学校によっては、福祉サービスへの理解不足や、事業所と学校のコミュニケーション不足による弊害も見受けられています。 インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別支援教育の一層の充実、合理的配慮の提供、教職員の専門性の向上、そして福祉・医療・教育の連携強化により、障害のある子どもが安心して学べる環境の整備が必要です。 取組 障害のある児童生徒が、その能力を最大限に発揮できるよう、学校における指導体制を充実させるとともに、バリアフリー化などの教育環境の整備を進めます。 施策4-3-1、教育相談、教育支援体制の充実。 内容は、多様な教育相談に対応できる体制を整えるとともに、障害のある児童生徒の個々の実態に即した就学を基本とし、本人、保護者の意向を尊重しながら、就学支援を行います。また、関係機関と連携し、専門的な意見を取り入れ、適切な学校生活上の支援ができるよう努めます。 担当課は、学校教育課です。 施策4-3-2、特別支援教育支援員の配置と専門性の向上。 内容は、教育上特別の支援を要する児童生徒に対し、特別支援教育支援員を適切に配置し、一人ひとりの教育的ニーズに応じた、学校生活上の支援を行います。また、支援員の専門性の向上のための研修機会を確保します。 担当課は、学校教育課です。 施策4-3-3、学校施設のバリアフリー化・合理的配慮の推進。 内容は、学校施設について、障害のある児童生徒が安全かつ円滑に学校生活を送ることができるよう、バリアフリー化を計画的に進めます。また、個々の教育的ニーズに応じ、合理的配慮の適切な提供が行われるよう、校内体制の整備や、教職員の理解促進を図ります。 担当課は、学校教育課、教育総務課です。 4 切れ目のない支援体制の構築 【新規の施策】 現状と課題 関係団体アンケート調査やヒアリングでは、園や学校と事業所がそれぞれ独立して支援を行っており、情報共有の方法が統一されていないことから、保護者が機関の間の調整役となり、情報を伝達し続ける負担が生じているとの指摘がありました。 また、就学や進学などの移行期において、必要な支援情報の引継ぎが十分に行われていない場合や、提供された情報が十分に活用されていない事例も見られます。特に、18歳以降の支援体制への移行においては、支援の継続性の確保が課題となっています。 乳幼児期から学齢期、成人期へと切れ目なく支援がつながる体制づくりが求められており、関係機関がゆるやかにつながる「地域の発達支援ネットワーク」の構築が必要です。また、各関係機関が支援情報を適切に引き継ぎ、乳幼児期から成人期まで、継続的な支援がつながる体制の整備が求められています。 取組 各関係機関が情報を円滑に共有・活用できるよう連携し、乳幼児期から成人期まで、一貫した支援を提供できる体制を整えます。 施策4-4-1、児童関係機関の連携強化。 内容は、乳幼児健診の段階から、保育所、児童発達支援、学校、相談支援などがつながり合える「地域の発達支援ネットワーク」化を目指し、関係機関の連携を強化します。 担当課は、こども家庭サポートセンター、学校教育課、福祉課です。 施策4-4-2、情報共有・引継ぎ体制の整備。 内容は、就学、進学、就労などのライフステージの移行期において、支援が途切れることのないよう、関係機関と連携し、継続的な相談支援体制の構築を図ります。 担当課は、こども家庭サポートセンター、学校教育課、福祉課です。 5 家族支援の充実 【新規の施策】 現状と課題 実態調査では、保護者にとって必要な支援として、「親の心理的サポートなど、相談機能の充実」が32.7パーセントと比較的高い割合を占めており、子ども本人への療育支援に加え、保護者に対する支援の重要性がうかがえます。特に、子育てに伴う不安や孤立感への対応、継続的に相談できる体制の整備が求められています。 関係団体アンケート調査やヒアリングにおいても、保護者への個別面談や、園や学校との情報共有などに取り組んでいる事業所がある一方で、保護者のメンタルヘルスへの配慮や、障害のある子どもの兄弟姉妹、いわゆるきょうだい児が抱える孤立感や心理的な負担への支援は、十分とはいえないとの指摘がありました。 また、保護者が子どもの「できないこと」や課題行動に意識を向けざるを得ない状況は、心理的な負担の増大につながる可能性があります。そのため、子どもの特性を踏まえ、「できること」に着目した支援の視点や、適切な関わり方を学ぶ機会の充実が、課題となっています。 さらに、日常的な養育の負担の軽減を図る観点から、保護者が安心して休息を確保できるレスパイト支援の充実も求められています。 取組 障害児の保護者や家族への支援を充実させ、家族全体を支える体制を整備します。 施策4-5-1、保護者・家族への支援の充実。 内容は、メンタルヘルスケアや、ペアレント・トレーニング、ピアサポートなど、保護者・家族への支援の充実を図ります。 担当課は、こども家庭サポートセンター、福祉課です。 施策4-5-2、レスパイト支援の充実。 内容は、障害のある人を介護・養育する家族の、身体的・精神的な負担の軽減を図るため、レスパイト支援の充実を推進します。短期入所や日中一時支援などの既存サービスの活用促進とともに、利用しやすい提供体制の確保に努めます。また、家族が安心して一時的な休息や、社会参加の機会を確保できるよう、関係機関との連携を強化し、必要な情報の提供や、相談支援の充実を図ります。 担当課は、福祉課です。 施策4-5-3、ライフステージの移行期における相談支援の強化。 内容は、ライフステージの節目における不安や課題に対応するため、関係機関と連携し、切れ目のない相談支援体制の充実を図ります。 担当課は、福祉課です。 6 社会教育・生涯学習の推進 現状と課題 障害者が生涯にわたって学び続け、社会参加を促進するためには、社会教育・生涯学習の機会を充実させることが重要です。 実態調査では、障害のある人の文化活動やスポーツ活動を活発にするために必要なこととして、「障害のある人が参加しやすい体制づくり」が26.8パーセントで最も高くなっています。 関係団体アンケート調査やヒアリングでは、障害者が文化芸術、スポーツ、社会活動などに参加するためには、移動の支援や同行援護が不可欠であるとの意見がありました。また、障害の有無にかかわらず参加しやすいイベント情報の発信、たとえば配慮の内容や騒音などの情報提供、また、参加費の軽減や送迎の支援が求められています。 市が主催する事業において、手話通訳者などを配置することや、図書館において点字図書、大活字本などの整備を充実させることなど、障害者の学習活動を支援する取組を、継続していく必要があります。 取組 障害者の生涯学習の機会を充実させ、社会参加を促進します。 施策4-6-1、学習活動の支援。 内容は、障害者の学習活動を支援するため、多様な学習機会の提供に努めます。また、文化芸術やスポーツ活動への参加を促進します。 担当課は、社会教育課です。 施策4-6-2、市が主催する事業でのコミュニケーション支援。 内容は、市が主催する事業において、手話通訳者や要約筆記者の配置を促進し、障害者の参加を支援します。 担当課は、福祉課です。 施策4-6-3、点字図書・大活字本などの整備充実。 内容は、図書館において、点字図書、大活字本、音声図書などの整備を充実させ、障害者の読書環境の向上を図ります。 担当課は、社会教育課です。 分野5 雇用・就労 1 就労支援体制の強化 現状と課題 実態調査では、一般就労をしていない人のうち、34.4パーセントが「仕事をしたい」と回答しており、特に精神障害者保健福祉手帳の所持者では、48.6パーセントと約半数に上ります。 就労していない理由としては、「障害や病気が重いから」が37.2パーセント、「働くための知識や能力に自信がないから」が18.8パーセント、「職場の障害理解に不安があるから」が16.5パーセントと挙げられ、本人の不安と、企業の受入体制の両面に課題があります。 また、障害者が働く場合に必要な配慮として、「職場内で障害に対する理解があること」が47.2パーセント、「障害に合わせた働き方ができること」が44.1パーセント、「障害のある人が働くことができる職場が増えること」が38.5パーセントと示されており、企業側の受け入れ環境の整備が求められています。 施策の評価では、「働きやすいまち」との肯定的な評価は11.0パーセントにとどまり、「就労を支援する体制が整っている」との肯定的な評価も13.5パーセントです。否定的な評価が34パーセント前後と高く、第3期計画の進捗評価でも、「雇用・就労」は7つの柱の中で最も低い結果でした。 関係団体アンケート調査やヒアリングでは、就労支援体制の職員不足や、就労先とのマッチングの難しさ、企業の障害者雇用への理解不足が指摘されています。 これらの課題を踏まえ、今後は、就労移行支援事業の充実、関係機関との連携強化、企業への障害理解の促進、就労選択支援体制の強化などが必要です。 調査結果 あなたは今後、収入を得る仕事をしたいと思いますか 回答者は、全体が352人、身体障害者手帳所持者が115人、療育手帳所持者が114人、精神障害者保健福祉手帳所持者が142人です。 仕事をしたい 全体:34.4パーセント 身体障害者手帳:27.8パーセント 療育手帳:22.8パーセント 精神障害者保健福祉手帳:48.6パーセント 仕事はしたくない、できない 全体:19.0パーセント 身体障害者手帳:20.9パーセント 療育手帳:26.3パーセント 精神障害者保健福祉手帳:14.1パーセント どちらともいえない 全体:25.9パーセント 身体障害者手帳:27.8パーセント 療育手帳:27.2パーセント 精神障害者保健福祉手帳:21.8パーセント 無回答・不明 全体:20.7パーセント 身体障害者手帳:23.5パーセント 療育手帳:23.7パーセント 精神障害者保健福祉手帳:15.5パーセント 取組 就労を希望する障害者が、必要なスキルを身につけ、就労し、定着できる支援体制を強化します。 施策5-1-1、就労移行支援事業の利用促進。 内容は、一般就労をめざしながら、就労に必要なスキルを身につけることができる場としての、就労移行支援事業の利用促進を図ります。また、就労移行支援事業所の拡充を支援します。 担当課は、福祉課です。 施策5-1-2、就労選択支援の充実。 内容は、就労を希望する障害者本人が、希望や適性に合った働き方や就労先を選択できるように支援する仕組みとしての、就労選択支援の充実を図ります。 担当課は、福祉課です。 施策5-1-3、各種制度の利用促進。 内容は、ハローワークなどの関係機関と連携し、職業訓練、ジョブコーチ、トライアル雇用、就労選択支援などの制度について周知し、利用促進を図ります。 担当課は、福祉課です。 施策5-1-4、就労支援ネットワークの充実。 内容は、ハローワーク、就業・生活支援センター、特別支援学校などによるネットワークの充実を図り、就労支援の質的な向上と、就労定着支援の強化を進めます。 担当課は、福祉課です。 2 一般就労の促進 現状と課題 障害者の雇用環境の改善に向けた取組が進められていますが、依然として課題が残されています。 実態調査で働いている人の勤務形態をみると、「パート、アルバイトなどの非常勤職員」が41.1パーセントで最も多く、次いで「正職員で勤務条件に違いはない」が35.3パーセント、「正職員で、短時間勤務などの障害者配慮がある」は7.6パーセントにとどまっています。 障害の種別では、療育手帳の所持者の66.7パーセント、精神障害者保健福祉手帳の所持者の73.3パーセントが、パートやアルバイトなどの非常勤職員として勤務しており、安定した雇用形態での就労が課題となっています。 仕事上の困りごととしては、「仕事が体力的にきつい」が24.1パーセント、「体調を崩した時に休みが取りにくい」が15.6パーセント、「職場の人間関係がうまくいかない」が13.4パーセントとなっており、「特に困っていることはない」は44.2パーセントでした。 関係団体アンケート調査やヒアリングでは、就労定着支援を遂行できる職員の不足、就労先とのマッチングの難しさが指摘されています。また、受け入れる企業が少なく、障害者雇用への理解が不十分な事業所もあることから、企業のトップや人事担当者が、障害者本人の特性を理解するための、地道な研修が必要とされています。 施策の評価では、「働きやすいまちとなっている」との肯定的な評価は11.0パーセントにとどまり、否定的な評価が34.3パーセントと高くなっています。第3期計画の進捗評価でも、「一般就労の促進」は1.67点と低い結果でした。 安定した一般就労の促進には、企業の障害者雇用への理解促進と、障害特性や体調に応じた柔軟な勤務形態の整備が必要です。 調査結果 現在の仕事上で不満や困っていることは何ですか 回答者は224人です。 特に困っていることはない:44.2パーセント 仕事が体力的にきつい:24.1パーセント 体調を崩した時に休みが取りにくい:15.6パーセント 職場の人間関係がうまくいかない:13.4パーセント 職場の期待を負担に感じてしまう:11.2パーセント 通院の時間が取りにくい:9.4パーセント 会社の行事や、同僚との付き合いに参加しにくい:5.8パーセント 仕事が自分に合っていない:5.4パーセント 賃金や昇進の面で、不利な扱いを受けている:4.9パーセント 仕事が単純でおもしろくない:3.6パーセント その他:6.3パーセント 無回答・不明:0.9パーセント 取組 障害者が安定して働き続けられるよう、企業の理解の促進や、支援体制の強化を進めます。 施策5-2-1、企業の障害者雇用に対する理解促進。 内容は、企業に対する情報提供や相談支援を通じて、障害者雇用の促進と、法定雇用率の達成への理解・協力を求めます。 担当課は、福祉課です。 施策5-2-2、柔軟な勤務形態の推進。 内容は、ハローワークなどと協力し、短時間勤務、ワークシェアリング、在宅勤務、テレワークなど、障害特性や個々の状況に応じた柔軟な勤務形態の導入を周知します。 担当課は、福祉課です。 施策5-2-3、市職員への障害者雇用の環境整備。 内容は、障害者差別解消法の合理的配慮を考慮した採用試験の環境整備を行うとともに、採用後についても、相談体制の整備など、さらなる職場環境の整備に努めます。 担当課は、市長公室です。 3 福祉的就労の充実 現状と課題 一般就労が困難な障害者にとって、就労継続支援事業所などの福祉的就労は、働く場の確保と、社会参加の重要な機会となっています。 実態調査では、一般就労をしていない人のうち、19.0パーセントが「仕事はしたくない、できない」、25.9パーセントが「どちらともいえない」と回答しており、就労意欲が低い人や、就労に自信が持てない人も、一定数存在します。こうした方々にとって、福祉的就労は、一般就労への準備の場であるとともに、働く経験を通じた社会参加などの機会を提供する、重要な選択肢となります。 施策の評価では、「福祉的就労、つまり作業所や就労継続支援事業所などが充実している」との肯定的な評価は16.7パーセントにとどまり、否定的な評価が26.3パーセントとなっています。 障害者が働く場合に必要な配慮として、「給与や工賃が充実していること」が32.2パーセント、「仕事のやり方を丁寧に教えてもらえること」が35.1パーセントとなっており、福祉的就労における工賃の向上と、支援体制の充実が求められています。 関係団体ヒアリングでは、就労継続支援B型事業所は、一般就労への移行を国が推進している一方で、利用者にとっては安心・安全な居場所としての役割も重要であり、短期間での成果だけでは測れない課題があることが指摘されています。 福祉的就労の場の確保と工賃の向上、個々の能力や障害特性に応じた多様な作業機会の提供、そして、一般就労への移行支援と、福祉的就労での安定した働く場の両立が必要です。 取組 福祉的就労の場の充実を図り、障害者の社会参加を支援します。 施策5-3-1、就労継続支援事業・地域活動支援センターの充実。 内容は、障害者の社会参加の場の充実を図るため、事業所と連携して、就労継続支援事業のA型とB型、および地域活動支援センター事業の周知や利用促進、事業の充実を進めていきます。 担当課は、福祉課です。 施策5-3-2、授産製品の販売支援。 内容は、福祉的就労の場で製造される製品について、行政内での活用や、販売の拡大に向けて支援していきます。 担当課は、福祉課です。 分野6 保健・医療 1 保健事業の充実 現状と課題 障害者が地域で安心して生活するためには、適切な保健サービスを受けられる体制の整備が重要です。 実態調査の施策の評価では、「障害者が必要な医療やリハビリテーションを受けやすい環境が整っている」との肯定的な評価は17.7パーセントにとどまり、否定的な評価が23.8パーセントとなっています。また、「障害の早期発見・早期対応の体制が整備されている」も、肯定的な評価13.1パーセントに対し、否定的な評価が27.1パーセントと高く、保健・医療体制の充実が課題です。 また、介助者の健康状態をみると、19.0パーセントが「どちらかというと悪い」または「悪い」と回答しており、その理由として「持病がある」が56.0パーセント、「体力的な疲れ、限界を感じている」が53.3パーセント、「精神的な疲れ、限界を感じている」が46.0パーセントとなっています。障害者本人だけでなく、介助者の健康維持への配慮も必要です。 関係団体アンケート調査やヒアリングでは、医療的ケア児対応事業の、需要と供給のバランスや、医療的ケアが必要な人の短期入所先の不足が、課題として指摘されています。 今後は、定期的な健康診査や保健指導の充実、精神保健に関する啓発・相談体制の強化、医療と福祉の連携強化が必要です。 取組 障害者本人、及び介助者の健康増進のため、保健事業の充実を図ります。 施策6-1-1、保健事業の実施と充実。 内容は、生活習慣病の予防などの市民の健康増進のため、健康診査や健康教育・健康相談、各種がん検診などの保健事業を推進します。また、各種保健事業の実施にあたっては、障害特性に応じた配慮に努め、保健指導などの充実を図ります。 担当課は、健康づくり課です。 施策6-1-2、医療と福祉の連携強化。 内容は、医療的ケアが必要な障害者への支援体制を強化するため、医療機関、相談支援事業所、障害福祉サービス事業所などの関係機関の連携を促進します。また、受入体制の充実に向けた取組を推進します。 担当課は、福祉課です。 2 医療サービスの充実 現状と課題 障害者が地域で安心して生活するためには、必要な医療やリハビリテーションを、身近な地域で適切かつ継続的に受けられる体制の整備が重要です。 実態調査では、「障害者が必要な医療やリハビリテーションを受けやすい環境が整っている」との肯定的な評価は17.7パーセントにとどまり、否定的な評価が25.3パーセントとなっており、医療体制に対する評価は十分とはいえません。 医療ケアの状況をみると、「服薬管理」が20.5パーセント、「透析」が3.8パーセントなど、定期的な医療を必要とする方が一定数存在しており、継続的な医療サービスへのアクセスの確保が課題となっています。 また、障害者が利用できる医療費の助成制度として、自立支援医療制度や、重度障害者医療費助成制度がありますが、制度の十分な周知と利用促進が求められています。 関係団体アンケート調査やヒアリングでは、地域における医療・リハビリ体制の充実に向け、相談支援専門員やケアマネジャーを中心とした、連携強化の必要性が指摘されています。また、医療機関での診断やフォローの流れについて、他の機関との情報共有が十分でないことが、課題として挙げられています。 医療費助成制度の周知・利用促進、専門医療機関との連携強化、医療と福祉の連携による、ライフステージを通じた切れ目のない支援体制の構築が必要です。 取組 障害者が地域で必要な医療サービスを受けられるよう支援します。 施策6-2-1、自立支援医療、重度障害者医療制度の周知。 内容は、市のホームページや広報紙などを活用して、制度の周知を行うとともに、制度の対象者には「福祉のしおり」を用いて丁寧に説明し、窓口へ案内することで、申請漏れの防止に努めます。 担当課は、市民課、福祉課です。 施策6-2-2、保健・医療・福祉分野の連携体制の整備。 内容は、医療サービスに関する相談に対し、保健・医療・福祉の分野が連携して対応するとともに、必要に応じて関係機関による協議を実施し、情報共有を図ります。また、医療と福祉が連携し、ライフステージを通じた切れ目のない支援体制の構築を進めます。 担当課は、健康づくり課、福祉課です。 3 精神保健福祉の推進 現状と課題 精神障害者が地域で安心して生活できる環境の整備と、市民全体の心の健康づくりの推進が求められています。 精神障害者保健福祉手帳の所持者数は、令和2年度の322人から、令和6年度には488人へと増加しており、総人口に占める割合も1.00パーセントに達しています。増加の最も大きな要因は、18歳から64歳の層で、全体の約8割を占めています。 関係団体アンケート調査やヒアリングでは、精神疾患のある利用希望者や、若年層のひきこもりが増加しているとの指摘があります。いわゆるはちまるごーまる問題に該当するケースでは、50代の子どもが、うつ病などの精神疾患を抱える事例が見られます。また、精神科病院から地域生活へ移行する際の支援の困難さや、精神障害者・発達障害者の、就職後1年時点の職場定着率が50パーセントを下回る傾向も、課題となっています。 精神障害の特性として、自身の状況を表に出したくないこともあり、地域住民への理解が進みにくい現状があります。 精神保健に関する正しい理解の普及啓発、精神保健相談・訪問支援の充実、精神障害者の地域生活を支える支援体制の構築、医療機関との連携による地域移行の推進が必要です。 取組 精神保健福祉の充実を図り、精神障害者の地域生活を支援します。 施策6-3-1、精神障害などに関する啓発・広報の推進。 内容は、パンフレット、広報紙や講話などにより、心の健康づくりや、精神障害などについての普及啓発に努めます。また、「自殺対策計画」に基づき、地域の特性に応じた自殺対策や啓発を行います。 担当課は、健康づくり課です。 施策6-3-2、精神疾患などの予防と、早期発見、早期治療の促進。 内容は、精神保健相談や訪問支援を実施し、疾病や障害の早期発見・早期治療につなげます。医療機関と連携するとともに、支援につながりにくい方への、アウトリーチ型の支援を推進します。 担当課は、健康づくり課、福祉課です。 施策6-3-3、地域生活への移行・定着支援。 内容は、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの考え方のもと、地域生活への移行・定着に向けて、関係機関と連携して支援します。 担当課は、健康づくり課、福祉課です。 4 難病患者への支援 【新規の施策】 現状と課題 障害者総合支援法においては、指定難病などの難病患者も対象とされ、一定の要件のもとで、障害福祉サービスの利用が可能となっています。一方で、難病は、症状の変動性が大きいこと、外見からは障害の状況が把握されにくいこと、治療法が未確立で将来の予測が困難であることなど、特有の課題を有しています。 経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず、介護などに著しく人手を要するため、家族の負担が重く、精神的にも負担が大きいとされています。 難病患者が地域で安心して生活できるよう、医療費助成制度の周知や、相談支援体制の充実、医療機関との連携強化など、総合的な支援が必要です。また、難病に対する理解の促進も重要です。 取組 難病患者とその家族への支援の充実を図ります。 施策6-4-1、難病患者への相談支援の充実。 内容は、難病患者とその家族への相談支援体制を充実し、医療機関や関係機関との連携を図りながら、適切な支援を提供します。 担当課は、福祉課です。 分野7 情報・コミュニケーション 1 情報アクセシビリティの向上 現状と課題 令和4年に施行された「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の趣旨を踏まえ、障害者が円滑に情報を取得・利用できる環境の整備が求められています。 実態調査では、情報を受け取る方法として、「LINEなどのSNS」が38.9パーセントで最も多く、次いで「介助者を通じて」が27.0パーセント、「相談支援事業所を通じて」が23.5パーセント、「電子メール」が20.2パーセントとなっています。特に、直接受け取る手段としてSNSを利用する割合が高い一方で、広報紙やホームページだけでは、情報を得にくい人が多いことが示されています。このことから、障害者が必要な情報を確実に受け取れるよう、SNSなどのプッシュ型の情報発信の充実が求められます。 障害の種別では、療育手帳の所持者において、「介助者を通じて」が42.6パーセント、「相談支援事業所を通じて」が37.2パーセントと高く、支援者を介した情報提供体制の充実が重要です。 施策の評価では、「情報を得やすい環境、いわゆる情報バリアフリーが整っている」との肯定的な評価は10.9パーセントにとどまり、否定的な評価が31.7パーセントと高くなっています。また、「市の施策や支援に関する情報がわかりやすく提供されている」も、肯定的な評価12.0パーセントに対し、否定的な評価が34.5パーセントとなっており、第3期計画の進捗評価でも、「情報バリアフリー化の推進」は1.75点と低い結果でした。 今後は、多様な障害特性に配慮した情報提供手段の拡充や、ICTを活用した情報アクセシビリティの向上が必要です。 取組 障害者が必要な情報に円滑にアクセスできるよう、情報アクセシビリティを向上させます。 施策7-1-1、多様な手段による情報提供の充実。 内容は、「福祉のしおり」や「広報ちくご」、市のホームページ、LINEなどのSNSなど、多様な媒体を活用して、障害福祉サービスに関する情報提供を行います。また、情報提供の際は、全ての方にわかりやすいものとなるよう努めます。 担当課は、総務広報課、福祉課です。 施策7-1-2、ICTなどを活用した情報バリアフリー化の推進。 内容は、インターネット、携帯電話などの情報機器の利活用を支援し、障害者の情報格差の解消、及び情報アクセシビリティの向上に努めます。 担当課は、福祉課です。 2 コミュニケーション支援の充実 現状と課題 障害者が円滑にコミュニケーションを行うことができるよう、意思疎通支援に関して充実を図る必要があります。 実態調査では、情報を受け取る方法として、「手話通訳の派遣や、要約筆記者の派遣などを利用」を希望する方は0.8パーセント、「点字文書」は0.4パーセント、「音声データ」は2.0パーセント、「代読・代書サービス」は1.4パーセント、「拡大文字」は3.9パーセントとなっています。 また、「介助者を通じて」が27.0パーセント、「相談支援事業所を通じて」が23.5パーセントと高く、特に療育手帳の所持者では、それぞれ42.6パーセント、37.2パーセントとなっており、支援者を介した情報伝達や、コミュニケーション支援が必要です。 関係団体ヒアリングでは、災害時の情報伝達において、絵カードや音声など、多様な手段による情報提供の必要性が指摘されており、障害特性に配慮したコミュニケーション手段の工夫が必要です。 取組 障害特性に応じた多様なコミュニケーション手段を確保し、意思疎通支援を充実させます。 施策7-2-1、コミュニケーション手段の充実。 内容は、手話や要約筆記などのボランティアの養成・派遣を促進し、障害者のコミュニケーションを支援します。また、ボランティア養成講座には、各関係機関などに対し、参加要請に努めます。 担当課は、福祉課です。 施策7-2-2、意思疎通支援の推進。 内容は、手話通訳者や要約筆記者の派遣や、支援者の養成、また、障害特性に応じた多様な意思疎通支援に努めます。 担当課は、福祉課です。 施策7-2-3、コミュニケーションツールの普及。 内容は、筆談ボードやコミュニケーションボード、ICTを活用した意思疎通支援アプリなどの導入・普及を促進します。 担当課は、福祉課です。 3 情報提供・相談窓口の充実 現状と課題 障害者が地域で安心して生活するためには、福祉制度や支援サービスに関する正確でわかりやすい情報が提供され、気軽に相談できる体制の整備が重要です。 実態調査では、市役所や相談支援事業所などの相談窓口について、「現在利用している」が28.4パーセント、「今は利用していないが、今後は利用したい」が39.3パーセントとなっており、約7割が相談窓口への利用意向を示しています。 障害のことや、福祉サービスなどに関する情報の入手先としては、「行政機関の広報誌やホームページ」が26.3パーセントで最も多い一方、「行政機関の相談窓口」から情報を得ている方は3.9パーセント、「相談支援事業所などの民間の相談窓口」は7.6パーセントと低く、相談窓口が情報提供の場として、十分に機能していない状況です。 施策の評価では、「年金や手当制度などの生活安定施策について、十分な情報提供がある」との肯定的な評価は18.7パーセントにとどまり、否定的な評価が38.1パーセントと高くなっています。また、「市の施策や支援に関する情報がわかりやすく提供されている」も、肯定的な評価12.0パーセントに対し、否定的な評価が34.5パーセントとなっており、情報の内容や質の充実が課題です。 今後は、福祉制度やサービスに関するわかりやすい情報提供の充実、相談窓口の周知と利用促進、相談窓口における情報提供機能の強化が必要です。 取組 障害者とその家族が、必要な情報や支援につながるよう、相談窓口の周知や、情報提供体制を充実させます。 施策7-3-1、相談窓口の周知と利用促進。 内容は、市役所や相談支援事業所などの相談窓口について、多様な媒体を活用して周知を行い、利用促進を図ります。 担当課は、福祉課です。 施策7-3-2、総合的な情報提供体制の整備。 内容は、福祉制度や障害者サービスなどについて、関係する課が連携し、総合的な情報提供体制を整備します。 担当課は、福祉課です。